【藤子・F・不二雄】スーパーサラリーマン左江内氏の原作漫画の感想
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久しぶりにドラマ観てます。
「スーパーサラリーマン左江内氏」
原作は藤子・F・不二雄の「中年スーパーマン左江内氏」。
脚本・演出は勇者ヨシヒコシリーズを手掛けている福田雄一。
基本的に1話完結の構成で、問題提起から結末まで1時間通してゆるゆるで気合を要さずに観続けることができます。
視聴者の笑わせ方も含めて勇者ヨシヒコシリーズに通ずるところがあり、個人的には好きなドラマです。
また、原作となっている「中年スーパーマン左江内氏」をうまくデフォルメして現代風に合わせていると思います。
原作はというと、サラリーマンとスーパーマンの二足のわらじを履いて葛藤しつつ、それでもあまり救われることない中年おじさんの侘しさに焦点を当てた大人版パーマンといった感じです。
今回は、ドラマの原作となっている「中年スーパーマン左江内氏」について紹介して行きたいと思います。
中年スーパーマン左江内氏って?
中年スーパーマン左江内氏は、「漫画アクション」に1977年9月15日号から1978年10月26日号に掲載された藤子・F・不二雄の作品で、全14話からなります。
あらすじ
ごく平凡な中年サラリーマンの左江内はある日、「スーパーマン」と自称する初老の男性に付きまとわれ、スーパーマンになってくれないかと懇願される。しかし、左江内はそれを本気にせずに、相手にしていなかったが、娘の危機を知り、しぶしぶ引き受けてしまう。
譲り受けたスーパー服には様々な能力があり、それを生かして正義のために仕事や家庭での合間、日夜戦わなくてはならなくなった。しかし、左江内が戦う相手とは悪の組織や怪獣などではなく、ごく日常の揉め事ばかりであった。
主な登場人物
左江内
会社での役職は係長。45歳。小心者でお人よし、少々頼りなげな中年男性。先代のスーパーマンからスーパー服を譲り受けた。この服の能力のせいで事件を察知すると、仕事中でも出動してしまう羽目に。
左江内 円子
左江内の妻。夫の事はまるで信頼していない。いつもぐうたらしている。
左江内 はね子
左江内の娘。高校生。年頃で反抗期を迎えている。
左江内 もや夫
左江内の息子。襲われそうになった姉のはね子を「かっこいい」と口にする。
先代のスーパーマン
初老の男性。左江内にスーパー服を譲り渡す。本業はハンコ屋であるが、スーパーマン業に精を出し過ぎて経営が苦しくなり、妻にも逃げられた。スーパー服は更に先代のスーパーマンから譲り受けたもの。
収録話
スーパーマン襲名
中年はもてる…か?
はね子がポルノを!!
噂にきいたツツモタセ
スーパーマン左せん
あの係長が!おごってくれた!!
おれはこの家 出て行くぞ
血潮の海に
割りこみ許すまじ
幽霊が団体で
あなたこそ正義のみかた
はね子に勉強させる方法
名月や
日は暮れて道遠し
内容
基本的にはあらすじで書いてあることがすべてなんですが、もう少し詳しく書いてみます。
まずスーパーマンに選ばれた理由
① 最大公約数的常識家
② 力を持っても大それた悪事のできぬ小心さ
③ ちょっと見、パッとしない目立たなさ
うん。虚しいですねスーパーマンって。
スーパーマンになるには、お決まりのスーツを身にまとう必要があり、これを着ることでよくある超人的な力を手にすることができるようになります。
モノを透視することもできるようになるんです。なんてうらやましい。←僕みたいなやつはスーパーマンに選ばれることはないでしょう。
ちなみにスーツに刻まれた↑のロゴ。
スーツを託された1話目のときには無く、2話目から見られるようになります。
やはり左江内さんがオリジナリティを出すために考案したものと考えます。かわいい。
兎にも角にもスーパーマンの力を得た左江内さんが、悪に立ち向かうでもなく、日常的なささいな争いや問題を解決していきます。
しかしそこには報いや救いは何もなく、たんたんと日常を過ごす中で、悪が減るわけでもなく変わらぬ世の中にやがて虚しさを覚えていきます。
一連の流れを読んで、「あー、これは社会の負に焦点を当てたドキュメンタリーなんだ」って感じました。
「大人って救いが無いのかな?」
そう。こんな読後感がとても藤子・F・不二雄先生らしい作品です。
1970年代の漫画ということもあり、時に古い表現はあるものの、人間生活ひいては社会というものの本質はあんまり変わっていないんだなーと思いました。
最後に
ドラマ同様、1話完結の構成で全1巻の大人向けヒーロー漫画「中年スーパーマン左江内氏」。
とても読みやすく気軽に楽しめると思います。
藤子・F・不二雄好きはもちろん、ドラマにハマったって人も是非読んでみてください。
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